牛窓

牛窓・亜細亜芸術交流祭2017行きました。

3年前の感想はこちらです。

前回開催された芸術祭はオリーブ園やイベントスペース、スーパーマーケットなど、芸術祭を目的としない方でも見ることのできる多かったのに対し、今回は廃校・幼稚園・倉庫・住宅街の水路など、住民の生活に近い場所での開催でした。

インフォメーションセンターは石段の上にある幼稚園。僕が訪れた時は案内の方はここにしかいませんでした。優しい顔をしたおじさんがパンフレットと地図を渡してくれて、ここを見た後は一番高い場所(神社)から見て、坂を下るように周るといいよ、と教えてくれました。

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幼稚園は展示会場にもなっています。写真は多田恋一朗さんの「赤の記憶」。背の低い椅子が3脚置かれていて、座って観てくださいとのことでした。背景の遊具・倉庫は全て緑に塗ったそうで、赤が際立ってました。前述のおじさんが「雨が降ってから、手前の赤い立体の下地が浮き上がってきた」と言っていて、見ると確かに赤い立体の一つの、下に描かれていたものがうっすらと見えていました。
幼稚園の中では布施琳太郎さんによる映像作品が展示されていました。幼稚園の園歌を(多分)オリジナルの節で歌う映像作品。映像はブラウン管、モニター、スクリーンなど様々な形態で流れています。園内に置いてあるものはもともとあったものなのか作家が作ったものなのか、境界線が曖昧なのが良かったです。あと室内にある楽器は自由に弾いたりしてもいいそうです。幼稚園の中の作品は青く、外の作品は赤かったです。

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小学校を使った展示は全て映像作品。三年前の展示で見た伊東さんの「生きている/生きていない」の新作は学校廊下で撮られていて、隣は給食室です。以前は牛窓の自然をバックに撮影されていて、なんとなく背景に目線が行きましたが、今回はコンクリートの廊下で風景に動きがなく、肉体と肉の動きに目線が集中します。体毛の処理が丁寧だな〜と思いました。
理科室で見る有賀慎吾さんの映像作品が結構強烈でダウンしそうになりましたが、その後に流れる松田修さんの映像作品で救われました。松田さんと有賀さんの映像は交互に上映されていました。

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水路の展示作品は、主要道からコードを辿って、完全なる住宅地を歩いて行くと現れます。
木陰から水面を見つめる巨大な顔。展示モニターは水面を向くように下向きに設置されていて画面が見えづらく、音声は聴こえなかったです。作品につながるコードが水没したり壁にかかったり奥の細い道へ伸びていたりして、この先に何があるんだ、と期待を煽る感じが良かったです。ちなみにモニターが一つでないことは帰ってから知りました。

会場になった尻海地区は人気のないとても静かな住宅街で、そこにある作品群はもちろんですが、知らない民家の倉庫や、クーラーのない蒸し暑い教室、学校の窓から見える景色を埋め尽くすソーラーパネルなどの風景も印象に残りました。

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ここからは芸術祭に関係ないのですが、駐車場の隣に「大嶋遊歩道公園入口」という看板と草ぼうぼうの獣道があったのが気になりました。明らかに整備されていないのですが、一体この先に何があるんだろうと気になってしまって。

足を踏み入れてみたところ、両サイドからセミの爆音が流れ、飛び立ったセミが威嚇するように迫ってくる、なかなかエキサイティングな遊歩道でした。ビビりながら奥まで行ったのですが、光に照らされた草ぼうぼうの空き地しかなく。セミに恐怖を覚えたのは初めてです。

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あと駐車場に謎の物体が落ちていたんですが、有賀さんの作品でしょうか…。