常滑

休みを利用して、日帰りで常滑へ行きました。

INAXライブミュージアムで6月9日まで開催されている大竹伸朗さんの「焼憶展」を観る事が一番の目的です。
大竹氏とINAXライブミュージアムは、2009年7月に瀬戸内海の直島(香川県)にオープンした公衆浴場「直島銭湯 I♥湯(アイラブユ)」プロジェクトにおいて、大竹氏の作品である「絵付け便器」や、浴場の「タイル壁画」の制作に携わったことから、その後も交流を続けてきました。以来、当館は大竹氏による展覧会の開催を望んできましたが、このたび多忙なスケジュールを縫って、ようやく開催の運びとなりました。
本展で大竹氏は、転写による焼き付けタイル(*1)を用いた新たな表現に挑戦しています。自身のコラージュ(*2)作品や、常滑に滞在し撮影した街のディテールを正方形のタイルに焼き付け、仕上がった作品転写タイルを新たにコラージュ。さらには、’便器’までも貼り素材として用いて、立体作品を制作します。

展示作品は1点のみですが、規模が大きいです。2mを超える高さの巨大なタイル・スクラップブック…。重さが1.4トン。ハードカバー部分は小さなタイルをコラージュのように並べ、土台部分は「ぬりどき日本列島」を転写したタイルと、常滑の風景を撮影した写真タイルで構成。ページ部分は真っ白な薄いタイルでこさえられていました。Documentaの資料なんかも転写されていて、相変わらずの猥雑ぶりに大満足。背表紙に貼付けられた金の便器も、品のない日本を象徴しているようで面白かったです。

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ミュージアムショップで買った、ぬりどき日本列島のタイルコースター。一番欲しかった「安吾」が買えたのでもう悔いはありません。本当は二番目に欲しかった「エレキで民謡」が買えればもっと良かったんですが、残念ながら品切れになっていました。人気なんですね。

企画展はもちろんのこと、常設展も非常に素晴らしい物でした。世界最古のタイルを始め、各国のタイルがずらりと並ぶ2フロア。別館の「窯のある資料館」は、江戸時代の染め付け便器が展示されていました。便器を「美術作品」としてでなく「資料」として展示しているのですが、白地に青で華や水しぶきが描かれた和便器は「資料」としての価値を超えてとても美しいものに昇華していました。便器なのに。そして敷地の外れにあるトイレットパークで、水の音を6分間録音し、帰路につきました。

時間が余ったので、Roadsiders Weeklyで紹介されていた「やきもの散歩道」を訪れる事に。

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壁面を陶器や廃材が彩り、滑り止めを防止する為に路面にも陶器が埋め込まれています。どっちを向いても陶器陶器した、非常に刺激的な散歩道。散歩道の脇にはおしゃれなカフェや雑貨屋が建ち並び、若い人向けのデートスポットとしても成立しているみたいです。ただ、そんな中にも訳の分からない建物(おもちゃと陶器を大量にディスプレイした工場?、ボロボロの壷やけばけばしい刷毛を庭に放置したギャラリー?)が存在していて、ディープスポットとしても楽しめる、個人的には美味しい空間でした。

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散歩道とは別ですが、常滑西小学校の外壁の上に学生が作った焼物の動物が並んでいました。等間隔に並べられたリス・猫・イカ・埴輪・手首などをモチーフにした焼物はどれも素晴らしい出来で、端から順番に撮影していきたかったのですが、何しろ量が多くて断念しました。正門側の面をざっと見ただけでも60近くの焼物があったのですが、角を曲がったらその先にも大量の動物がいて、すごい!すごい!とひとりで勝手に興奮してしまいました。

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焼物動物を大量に見て興奮状態のまま、「めんたいパークとこなめ」なる博物館へ行く事に。常滑駅前の案内板「海に向かって徒歩10分」を信じて歩く事20分。遠い…。写真を見ていただければわかるかと思いますが、本当に道中に何もないんです。あったといえば競艇場ぐらいか。そして肝心のめんたいパークは、親子連れをターゲットとした博物館で、一人で見るのはなかなかキツい空間でした。工場のライン見学はちょっと楽しかったです。ベロみたいな形の明太子が大量に流れていくさまは、可愛らしくもありました。めんたいパーク内には、明太子を無料で試食できるコーナーというのがあるのですが、並んでいる人たちの顔ぶれを見て、何となくその列に入る事ができず、結局お土産だけ買って帰りました。

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めんたいパーク内での自分へのお土産は、予算がなくて買えませんでしたが、路上に落ちていた運送会社の指示書(おそらく)を拾って持って帰りました。「常」「滑」の書き方が見れば見るほど素晴らしい。とりあえず洗面所に貼ってます。