小豆島3

瀬戸内国際芸術祭2016の夏会期に、小豆島の北半分をバスで巡った記録です。

春会期の最終日に、南エリアの主要スポットをかいつまんで巡った小豆島。今回はアクセス的に面倒そうな北側の作品をメインに、バスを使って鑑賞します。
今回は何となくiPhoneのローカルメモでリアルに記録をつけてみたので、その内容を記載します。

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これは1日バスが乗り放題になるフリーパスです。土庄港ターミナルで売ってます。1000円。1日遊べば元が取れると思います。買いましょう。朝8時のバスですが、芸術祭目当てのお客さんが数名見受けられます。その中にいた一人の男性とは、後述の土庄港までほぼ同じルートを辿りましたが、コミュニケーションはありませんでした。

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大部地区に行くためにはバスを途中で乗り継ぐ必要があります。これは乗り継ぎのために下車した「東洋紡績渕崎工場跡」バス停から見える風景です。ここで25分待ちます。何もないように見えますが近くにコンビニがあるのでそこで時間を潰せます。

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それで大部に着きました。バス停から歩いて5分ほどのところに黒いイカの紙人形を吊るした建物があって、その近くの浜辺に「国境を越えて・潮」がありました。
砂浜に石でできた子供の像が立ち並ぶ光景。日本が承認する国の数だけ像があるそうです。背中に書かれた文字はその国の座標で、胸に書かれている数字は大部港からの距離、向いている方向はその国の方向、と地元のお婆さんが話していました。「1体だけ泣いている子供がいる」「1体だけ頭が取れ、花が咲いている子供がいる」などの情報も教えてくれました。
私的にアジアの現代美術家って、社会に警鐘を鳴らすような作風の人が多いイメージがあるのですが、この作品も見ていてどんよりした気分になりました。しかし案内のお婆さんは底抜けに明るかったです。

大部にはもう一つ「小豆島の木」という作品があります。なだらかな斜面になった倉庫の中に、巨大なクヌギの木の根っこが浮かんでいます。倉庫は全長24メートル、幅7メートルですが、根っこの一番長いところは20メートルあり、倉庫一杯に広がっていることが伺えます。「12月の寒い日にすべて手作業で掘り出しました。手作業だから細部まで折れずに掘り出せているんですよ〜」と案内のお母さんが教えてくれました。公式サイトに掲載されている「普段とは異なるアプローチで木を見上げる」はまさにその通りで、普段よりも低い位置から木を見上げるという今までにない体験ができました。

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一旦来た道をバスで戻り、北浦地区へ行きました。やけに人形の多い田んぼがある住宅街を通り抜けると、とび越神社というイカした名前の神社にたどり着きます。ここでは、秩父前衛派による「ダイナマイト・トラヴァース変奏曲」というイカした作品が展示されていました。

神社の横にある元・石切り場だった敷地内。地面から突き出た石に銅版画みたいな絵が埋め込まれているんですが、それらはいずれも図形楽譜だそうです。で、その楽譜をもとにした音楽がスピーカーから流れているんですが、ノイズミュージックです。地面に干支の字が書かれた石が置いてあったり色々気になるのですが、解説がないのでよくわかりません。
セミの鳴き声と混ざり合った爆音のノイズを聴きながら石切り場の隅でじっとしていたら、後から来た親子連れの母親が「こういうの苦手なのよね」とか言いながらスタンプだけ押して消えました。そういや魔女の宅急便に似たセリフがあったな、と思いました。長時間作品の前を独占できたこともあって、個人的には今の所一番好きな作品です。

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ちなみに、神社への道を間違えてたどり着けなかった場合はこういう場所に着きます。引き返して、丸い鉄板が置かれたところの細道を通ってください。

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炎天下の中1時間近くバスを待つことに。外でじっとしていたらスルメになりそうだったので道の駅の休憩所に駆け込みましたが、空調が動いていない無風状態の室内も、あまり快適ではありませんでした。やっと来たバスで福田港方面へ向かい、そのまま福武ハウスへ。やっぱ真面目な作品が多かったです。あと体育館が食堂になってる「アジア食堂」なるものが新しく出来ていて、バザー感丸出しの様子にかなりそそられましたが、入るのはやめときました。昔バザーでよく食べた「ぬるくて辛くないカレー」が急激に懐かしくなりました。

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ここで臨時便に乗って土庄港に向かい、土庄本町の作品を鑑賞。
目の作品は初鑑賞。面白かったんですが3〜5人のグループで回るという、独り身にはちょっとキツい鑑賞方法でした。同伴させていただいたカップルの2人に謝れば良かった。
大岩オスカールさんの「大岩島2」は、2013年の伊吹島で展示されていた作品と同内容。色々な意味でヤバイです。ドロドロになりながらぐるぐる回って、2016年度のサインを見つけて妙な達成感を得て、ドロドロになりながら外に出ました。