伊丹で外骨を見た話

伊丹市立美術館で「シャレにしてオツなり −宮武外骨・没後60年記念−」を鑑賞。

宮武外骨は慶応3(1867)年讃岐生まれ、明治から昭和にかけて活躍した希代のジャーナリストです。「滑稽新聞」「スコブル」「ハート」などの1000近くの出版物を次々と刊行しました。帝国憲法のパロディを掲載し、不敬罪によって入獄3年。さらに奇抜な表現と方法で権力を揶揄し続け、入獄4回、罰金、発禁などの筆禍29回。獄中でも書籍を作ろうとしたエピソードも。

自分が外骨を知るきっかけになったのは、「グッドラックヘイワ」というバンドの楽曲「Monsieur MIYATAKE」という曲。インタビューでMIYATAKEが宮武外骨であることを知って以来、ずっと頭の中に残っている存在です。「アメリカ様」などの著書や「外骨という人がいた!」「過激にして愛嬌あり」などの関連書籍も読み、一時期外骨のことしか頭の中にない時期もありました。

展示室に入ってすぐ、本でしか見ることのなかった「滑稽新聞」の原本がズラリ。悪名高いお正月号もありました。「付録有」と書いておきながら古新聞の端切れみたいなのを封入して、「紙屑買の大馬鹿者」と筆で書いて読者を煽った号です。カラー版になってからの書籍はどれも「無作為のサイケ」というのか、独特の色使いでグラグラします。
「震災画報」の原本も展示されていました。関東大震災が発生した直後、民衆の様子や被害の具合などを克明に記録した書籍です。行動の早さからChim↑Pomを思い出しました。
一番興味深かったのが「絵葉書世界」。大判の紙にハガキサイズの風刺画や風俗画が印刷され、折りたたまれただけの書籍で、切り離して絵葉書として使うこともできたみたいです。切手の部分がイラストと連動していてオチになっているものもあり、単純にわかりやすかったです。両面見せられる額に入れて吊るされたタイプと、背の低いガラスケースに並べられたタイプの二種類で展示。広い室内に大量のイラストが並ぶ空間に圧倒されました。これこそ物販コーナーでポストカードにするべきだろう、と思ったんですが、販売されていませんでした。
あと展示の仕方、真面目なキャプションと、美術館側の主観が入った一言キャプションみたいなのが入り交じっていました。個人的には「親切だな」って感じました。

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帰りに、伊丹で食べログ1位のラーメン店「がふうあん」で「鶏のこく塩らーめん」。カウンター席に緊張してメッチャぶれました。行く前からずっと「伊丹といえばラーメン」という考えがあって、それがなぜなのかわからなかったんですが、帰りの高速で、あまりにしょうもない理由であることが判明しました。