大阪3

前夜思い立って、祝日を大阪で過ごしました。

普段起きる時間よりも3時間早く起きて、駅へ歩いて向かいます。あまりの寒さに気が遠くなりながらも、朝の5時に電気が付いている家を見つつ、その家の事情を想像したりして気を紛らわせました。駅に着いた頃には手足の感覚が無くなっていましたが、無事、始発の普通列車に乗り込みました。

乗り換えも何とかこなし、大阪駅に到着。東梅田駅から地下鉄で千林大宮駅へ行きました。こちらの商店街にある「パン屋のグロワール」で、漫画家の堀道広さんがイラストを手がける「パンラボ」のキャラクター「クロックムッシュ氏」のキーホルダーを買いました(鉤括弧が多いですねこの一文)。気になるパンが大量にあったので一緒に購入。近くの公園で食べようかと思ったのですが、寒すぎて手が動かなくなったので、移動して千林大宮駅構内のベンチで食べました。千林大宮駅のベンチに座ってパンを食べる事は今後無いんだろうなあ…。

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東梅田駅まで地下鉄で戻り、凍えそうになりながら40分程南へ歩き、11時前に「ボタニカリー」に到着しました。まだ開店していないにも関わらずお店の前にはお客さんが!行列、というよりは人だかり…みたいな感じだったので、5分程時間を置いてもう一度店にいくと、すでに8割ほど席が埋まっていました。自分が食べ終わる頃には外に行列…。すごい人気です。
あいがけ注文が可能な時間帯だったので、ボタニカリーとシュリンプカリーのあいがけを。真ん中にライスがあるオシャレな盛りつけです。チキンベースのソースにキーマがゴロゴロ乗っかったボタニカリーと、ココナッツミルクが入ったマイルドなシュリンプカリーが一皿に。賽の目に切られたピクルスや茄子ソテーなども盛りつけられていて豪華です。そしてカレー自体の辛さに加えて、上からふりかけられたスパイスがビリビリ来る、体の内側からカッカ来る感じの刺激的なカレーでした(今度はカタカナが多いな)。美味しかったです。
隣に座った人がカレー皿をスプーンで叩きながら食べてました。アインシュテュルツェンデ・ノイバウテンみたいなインダストリアル系の音。家の父もそうでしたが、カレーを掬う時にガンガン音をたてる人って野生動物みたいですね。

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12時に国立国際美術館に到着。開催中の「アンドレアス・グルスキー展」を観ました。
アンドレアス・グルスキーの名前は丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で2006年に開催された「ドイツ写真の現在 ― かわりゆく『現実』と向かいあうために」で知りました。壁面一杯に展示された牧場や証券取引所の写真は、当時高校生だった自分には物凄い衝撃でした。給水塔をモノクロ撮影して等間隔に並べたベルント&ヒラ・ベッヒャーなど、他の写真家の作品もガツンときましたが、グルスキーが一番印象に残っています。当時、帰りにギャラリーで展覧会の図録を買ったのですが、図録を買うのはあれが初めてでした。

あれから8年経って、久しぶりにアンドレアス・グルスキーの写真を観たのですが、残念ながら当時のような興奮状態にはなりませんでした。色んな情報や知識が入りすぎて、そこまでのめりこめなくなってしまったのかもしれません。細かい部分まで全てにピントがあった情報過多な画面は、確かに凄いけど「合成※1」とか「自身で撮影していない写真※2」とか聞くと、何だかなあ?と思ってしまいました。もちろん、あるがままを写した生っぽい写真だけが素晴らしいとは思いませんが…。不満ばっかり言ってますが、見応えは充分だし、8年前を思い出しながら展覧会の図録も購入したので、満足です。センサーの感度が敏感すぎて、あっちこっちで鳴りまくる防犯ブザー音も楽しめたし。あと、文章による解説が非常に少ないので、音声アナウンスを500円で借りた方が良いと思います。

そこから近くのギャラリー「The Third Gallery Aya」で開催されていた鍛冶谷直記さんの個展「JPEG」へ。以前に加瀬野さんから「名前を忘れたけど面白い写真家がいる」と教えて貰ったのですが、この方でした。どっか寂れた地方都市の変な物ばかりを撮ってます。猥雑でどうしようもない日本。凄く良かったです。写真集も欲しかったのですが誰もいないので買えませんでした。

その後、梅田1丁目の「駅前第3ビル」にある「もっきりや」と「汎書店」に立ち寄りました。「もっきりや」は、つげ義春の漫画から来ているのでしょうか。貸本含め、見たこと無い絶版の漫画が大量に置いてありました。「汎書店」はこちらが何も言わなくても、購入した3冊の本全てに判押しのブックカバーをしてくれました。凄く親切なお店だと思います。2軒合わせて、6冊も本を買ってしまいました。「アタゴオル物語(ますむらひろし)」「地獄の絵草紙 地獄変の巻(日野日出志)」「水(古井由吉)」「私の調書(池田満寿夫)」など。

そこから3時間かけて普通列車で帰宅。倉敷駅に到着後、凍てつきそうな夕暮れの道を歩いて帰りました。頑張れチヨジ!自分も頑張る。

※1…最高額の写真として有名な「ライン川Ⅱ」は遠くの工場などをデジタル合成で消しているそうです
※2…「オーシャン」シリーズは衛星が撮影した高精細の航空写真をデジタル合成しているそうです