鞆の浦3

鞆の津ミュージアムで「山下陽光のアトム書房調査とミョウガの空き箱がiPhoneケースになる展覧会」を見ました。

修悦体」「『既にそこにあるもの』を再発する(未遂)」などで、山下さんの存在を知って以来、色々な所でその名前を目にしていました。広島市現代美術館で2009年に開催された「一人快芸術」での展示や、「途中でやめる」という衣服ブランド、そして「アトム書房」にまつわるつぶやきをまとめたTogetterなど…。そういえば、トリオフォーとしてだったかもしれませんが、衿沢世衣子さんのマンガでも名前をお見かけした気が。

自分が知っていたのは山下さんの活動内容のほんの一部だけでした。中古のファミコンカセットに書かれた名前を基に、持ち主の所まで返しにいくプロジェクト「ファミカセいこかもどろか」。共同刊行の「NOPPIN新聞」の膨大なバックナンバー。古着を0円で売る「0円ショップ」や、人を集める事で店舗のない店を作り上げる「場所ップ」など、どこからその発想が出てくるのかわからない活動も。たとえ思いついたとしても、常識に捉われ、自分にブレーキをかけてしまって行えない…事を平気でやってしまっています。
あと、展示で気になったワードを覚えておいて家に帰ってから検索すると、デイリーポータルの記事やらnaverのまとめなどの何かがほぼ確実にひっかかるので、内容をさらに深く知る事ができます。

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「アトム書房」の調査をまとめた文章は、鞆の津ミュージアム内の一番大きな展示スペース、壁面2面にわたって公開され、さらに映像による解説も加わって、超ボリュームとなっていました。正直「アトム書房」や「末川凡夫人」といった内容よりも、それに対する山下さんの圧倒的な調査力と、その調査結果に感激しました。普通の美術展ではありえないような味のある手書きキャプションの数々も必見です。
ミュージアムショップでは「途中でやめる」の服も販売されていましたが、今回は鞆の津ミュージアムサイト内で紹介されていた「BLACK MEMO PAD」を購入。「Etranger Di Costarica」社の真っ黒なページのメモパッドに、田口隆子さんによる手塗りのドローイングが施された、全て異なる1点もの。あとサンプル品に押されていた「鞆の津ミュージアム」のスタンプが可愛かったです。Etranger Di Costaricaのメモ帳、近所の文具店でもよく見かけるんですが、福山に本社があったんですね。

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鞆の津ミュージアムを出て、そのまま一人で鞆の浦周辺を散策。坂を上って知らない港へ行き、来た道を戻って堤防に登り、仙酔島へ向かう黒船を眺め、駐車中の軽自動車のタイヤに寄り添っていたネコを脅かして(そんなつもりはなかった)、帰りました。